検索連動型広告が検索結果満足度およびブランドエクイティに及ぼす効果:検索連動型広告研究への心理学的アプローチ
1. 序論
1.1 検索連動型広告と自然検索結果
世の中は数多くの広告で溢れている。さまざまな広告の形態の中で、近年急成長を遂げているのがインターネット広告である。成長を続けているインターネット広告の中でも、本研究では検索連動型広告に注目した。その理由は、検索連動型広告が広告として重要性を増しているにもかかわらず、他の広告に比べ心理学的なアプローチによる研究の蓄積がきわめて少ないためである。
検索連動型広告は非常に魅力的な広告形態であるが、当然ながらデメリットも持っている。中でも、本研究では非常に単純な問題に注目した。それは、「検索ユーザは広告と自然検索結果とを区別できていない」という問題である。この問題を解決する最も素直な反応は、広告と自然検索結果が区別しやすいデザインにするというものではないだろうか。
さらに、検索ワードが購買・利用につながりやすいもの(購買ワード)かつながりにくいもの(非購買ワード)かによって、また、検索エンジンにどの程度詳しいか(検索エンジンリテラシー)によっても、検索結果をどう捉えるかは異なると考えられる。
以上より仮説1を立てた。すなわち、広告欄の文言(非表示/カタカナ/漢字)、検索ワードの種類(購買ワード/非購買ワード)、検索エンジンリテラシーによって検索結果満足度が異なるだろうという仮説である。
1.2 検索連動型広告のブランディング効果
検索エンジン運営企業の公式見解は明らかでないが、一般に、検索連動型広告にはブランディング効果があると言われている。実際、第三者的な立場からのものではないにしろ、検索連動型広告のブランディング効果を検討した実証的な研究も存在する。しかしながら、こうした主張には疑問を感じずにいられない。なぜなら、テキスト主体の検索連動型広告では競合する広告との違いを作ることが困難であり、一見しただけではそれほど大きな訴求力を持ちうるとは思えないためである。
この疑問を解消するため、検索連動型広告に表示されたか否かがブランドエクイティ(プロダクトブランドエクイティ、消費者とブランドとの関係性、企業ブランドエクイティ)に与える影響を検討するという仮説2を立てた。
1.3 検索連動型広告以外のブランディング効果
ここで、検索連動型広告には実はブランディング効果がないと仮定してみると、どのような仮説が導かれるだろうか。仮定が正しいとすれば、広告欄に表示されたか否かによってブランドエクイティ得点に差が生じることは論理的にないと考えられる。一方で、もしブランドごとにブランドエクイティ得点に差があったとしたら、それはこれまで企業が行ってきたブランディング活動の賜物であると言えよう。
以上より、ブランドエクイティの得点はブランドごとに異なっているだろうという仮説3が導出される。仮説3は、どのようなブランドがどのように評価されているのかという探索的な検討であった。
2. 方法
本研究は、2008年11月1日から2008年12月31日にかけて、実験者の知人および知人の知人82名を実験参加者として行われた。
実験参加者にはまず購買ワードで検索してもらい、その検索結果に対する満足度を回答してもらった。次に、非購買ワードに関しても同様に検索・回答してもらった。最後に、購買ワードに応じたブランドおよび当該ブランドを所有する企業に関してブランドエクイティの尺度に回答してもらった。
3. 結果・考察
3.1 仮説1の検証
仮説1を検証した結果、広告欄の文言が理解しやすいほど検索結果満足度が高いという結果が得られた。このことはすなわち、広告と自然検索結果を区別できていない検索ユーザが一定数存在することを示唆している。検索ユーザの検索経験の質を向上させ、ユーザのロイヤルティ、信頼を得るという点において、検索アルゴリズムのような技術以前に、広告と自然検索結果の区別しやすさは有効であると言えるだろう。
3.2 仮説2の検証
仮説2を検証した結果、検索連動型広告に表示されることで企業の向社会性(企業ブランドエクイティ)においてはマイナスの影響があるという傾向が見られた。検索連動型広告に出稿することでブランドにマイナスのイメージを持たれる可能性があると言えよう。一方で、他のブランドエクイティ変数への影響は見られなかった。
3.3 仮説3の検証
仮説3を検証したところ、全体として、有名なブランドほど好意的に評価されやすいという結果が得られた。したがって、検索連動型広告はブランド拡張において効果を発揮する可能性があると言える。
3.4 本研究の課題
以上のような示唆が得られた一方で、本研究には課題も数多く残った。一般サンプルから十分なサンプルサイズと回収率を確保しつつサンプリングすることで一般化可能性を高める必要がある。また、利用した検索ワードの候補や分析に用いた変数の尺度の妥当性・信頼性に関してもさらなる工夫が必要であると考えられる。
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